日本の木製家具製造業は1991年をピークに出荷額が減少傾向にあり,現時点でピーク時の約1/3という状況にある。出荷額減少の主な要因として,住環境の変化による箱物家具需要の減少や外国製の安価な家具の輸入増加,産地問屋の消滅と大手小売業者(SPA型企業)の台頭などが挙げられる。
1999年9月30日に茨城県東海村の株式会社ジェー・シー・オー(以下,JCO)で臨界事故が発生した。事故発生時に現場で作業をしていた従業員2名が死亡し,JCOのみならず周辺地域に甚大な被害を与えた。日本の原子力産業史上,臨界被曝が直接的な原因で死亡者を出した唯一の事例であるこの事故については,各種ジャーナリズムや評論家,研究者などの大半が,JCO組織の安全意識・安全文化の欠如や杜撰な安全管理体制を批判している。
組織がその存在を維持・発展させるためには「常に変化する環境に柔軟に適応していかなければならない」と言われる。しかしその一方で,「環境の変化に翻弄されることなく組織の独自性を基盤とした軸からブレずに一貫した活動するべきだ」とも言われる。前者は環境からの圧力による諸組織間の同化の側面を強調する論理であるのに対して,後者は他組織との異化の側面を強調する論理である。一体どちらが正しいのだろうか。